小説における雨の表現
【春の雨】
花の雨
桜の花が咲くころに降る冷え冷えとした雨。「桜雨」ともいう。桜の花が散るさまを表現するときにも使われる。
催花雨(さいかう)
春先に降る雨。花よ早く咲けと催促するところから言われるようになった。
菜種梅雨(なたねづゆ)
三月下旬から四月にかけて降る雨。菜の花の盛りのころの雨。
【夏の雨】
卯の花腐し(うのはなくたし)
梅雨入り前にしとしと降る長雨。満開の卯の花が腐るほど振るという語源。
五月雨
陰暦5~6月に降る長雨。梅雨の雨の事。
【秋の雨】
酒涙雨(さいるいう)
七夕に降る雨。再会できない悲しみの雨。
【冬の雨】
時雨(しぐれ)
晩秋から初冬にふる雨。降ったりやんだりする。その冬初の雨を「初時雨」という。時雨心地といえば、悲しい気分のことを指す。
【冬と夏の雨】
氷雨(ひさめ)
晩秋から初冬にかけて降る氷のように冷たい雨で霙交じりや雪交じりの雨も氷雨ということがある。また、夏に雷雨を伴って降る雹のことも氷雨という。
【恵みの雨】
慈雨(じう)
日照りの時に降る恵みの雨。また、「甘雨(かんう)」「瑞雨(ずいう)」とは大地を潤し、作物の成長を助ける雨をいう。
【細かい雨】
小糠雨(こぬかあめ)
霧のように細かい雨。「霧雨」に近い。
【日照り雨】
日が照っているのに降る雨。または、そのような空模倣。雨が降ったかと思うとすぐに晴れるような不安定な天気を「狐日和」ともいう。